現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号にUNISON SQUARE GARDENが登場!特にギラギラしてない、上を目指さない、そんなユニゾンとして「うわあ、好き勝手やったな」っていうものを作ろうとした
絶妙の立ち位置だからこそ生まれた超絶のロックアルバム『Patrick Vegee』を、田淵智也が語る!
インタビュー=山崎洋一郎 撮影=ヤン・ブース
ま、ユニゾンは随分と意固地で捻くれ者の我儘であることは音楽ファンの多くに知られてはいるが、そうであってもなんだかんだタイアップやプロモーションにも積極的に取り組むし、ライブでもフェスでもお客さんを200%楽しませるし、この取材だってカメラを向ければポーズをキメるし、質問には的確至極に答えてくれる。大昔のバンドのようにテレビに出てNGワードを喚いたり、ライブをすっぽかしたり、インタビュアーを罵倒したり(筆者経験多数)、そんなバンドではさらさらない(当たり前だ)。
でも、今回のニューアルバム『Patrick Vegee』では、彼らは自らの基本的なロックの姿勢をわりとはっきりと出していて、「ああ、やっぱり腹括ってるなこいつらは」とあらためて思うのだった。 ポップとロックのスリリングな境界線を疾走しながらカラフルな音色と鋭角的な言葉を叩きつけていくスタイルは今作でも大きくは変わらないが、その一曲一曲が放つ「ユニゾンはこれ以上でもこれ以下でもない、これが唯一無二でこれが最高」という頑ななまでの確信が、近作数作にはなかったほどはっきりと刻まれている。それはやはり「ロック」という言葉で言い表されるべきだろう。
アルバム全体の流れ、それぞれの曲の役割、それぞれの音や歌詞の仕掛けなどなど、濃密緻密すぎて解説してたらキリがない。でもその巧みさと完成度は、止まない拍手を贈りたいほどに御見事であることだけはしっかりと言っておきたい。
現在の日本においては天然記念物級の「粋な」「ロック」「アルバム」である。(山崎洋一郎)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年11月号より抜粋)
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