ストーンズは、ここで永遠に無敵になった

ザ・ローリング・ストーンズ『スティール・ホイールズ・ライヴ〈コレクターズ・セット〉』
発売中
ALBUM
ザ・ローリング・ストーンズ スティール・ホイールズ・ライヴ〈コレクターズ・セット〉

今年9月には『山羊の頭のスープ』のリイシューで全英1位を獲得、これによって60年代以降6つの異なる年代でチャート1位に立つという前代未聞の記録を打ち立てたストーンズ。時間の流れやトレンドの変遷、本人たちの加齢といった避けようのない不可逆な事象が、ことストーンズに対しては正しく作用しないという状態が生まれて久しい。彼らのような活動の永続性を可能にしたロック・バンドは他に類を見ないわけだが、ストーンズがその永遠の命を得るきっかけとなったのが、1989年から1990年にかけて行われた『スティール・ホイールズ』ツアーではなかったか。多くの大御所バンドがオルタナティブ・ロックの時代への適応を迫られ、80年代と90年代を隔てる壁の前で立ち止まらざるを得なかった当時、その壁をぶち破り、現在まで続く「伝説のバンド」兼「世界で最も成功したライブ・バンド」としてのストーンズの新時代の到来を告げたのが同ツアーだったからだ。そんな『スティール・ホイールズ』ツアーから未発表のアトランティック・シティでのライブ映像をレストア、リミックス&リマスターしたのが本作だ。他にも同ライブのCD、コレクターズ・セットには1990年の東京ドーム公演の映像やレア・トラック集なども収録された、豪華パッケージになっている。

ストーンズの約7年ぶりのライブ復帰となった『スティール・ホイールズ』ツアーは当時の彼らにとって最長にして最大、そして史上最も商業的に成功したツアーの歴史を塗り替えたモンスター・ツアーだった。綺羅星のごとき過去の名曲の数々と新作『スティール・ホイールズ』のナンバーがそれぞれに見せ場を作るセットリスト。50代手前の彼ららしい熟練と、50代目前とは思えない肉体的躍動。普遍のプリミティブ・ロックンロールと、計算し尽くされたモダンな音響デザイン│それは幾つもの伝統と革新、継承と変化の摩擦によってさらに鍛え磨かれたストーンズが毎夜降臨する凄まじいツアーであり、以降の彼らのスタジアム・ライブの雛形はここで完成したと言っていい。ちなみにアトランティック・シティ公演のハイライトは何と言ってもアクセル・ローズとイジー・ストラドリンがゲスト参加してのレアすぎる“地の塩”、そしてエリック・クラプトン、ジョン・リー・フッカーとの共演だろう。1989年当時、新時代を象徴するバンドだったガンズ・アンド・ローゼズ、ストーンズと同時代のクラプトン、そして偉大な先達のフッカーと、3世代を象徴する才能が一堂に会する場で、その交点に立てるのはストーンズしかいないことを証明しているからだ。 (粉川しの)



各視聴リンクはこちら

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


ザ・ローリング・ストーンズ スティール・ホイールズ・ライヴ〈コレクターズ・セット〉 - 『rockin'on』2020年11月号『rockin'on』2020年11月号
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

最新ブログ

フォローする