打首が切実な歌を歌う時代

打首獄門同好会『2020』
発売中
MINI ALBUM
打首獄門同好会 2020
打首獄門同好会が2020年にMVやツイッターで発表してきた7曲に、未発表曲“ああ無性”を加えたミニアルバム。“筋肉マイフレンド”のようにコロナ禍前からライブでやっていた曲もあるが、“新型コロナウイルスが憎い”や、緊急事態宣言が全面解除になった5月25日に発表された“明日の計画”などは、コロナ禍以降に書かれたことがあきらか。

で。ラウドミュージックの快感のツボを、細部に至るまで知り尽くした音は、いつもどおりの見事さだが、詞に関しては、打首を聴いてこんなにしみじみしたのは初めてな気がする。“はたらきたくない”や“布団の中から出たくない”のように、ヒネりもオチもなく思ったことをそのまんま歌う、だから「あはは」と笑って共感しておしまい、その清々しさが打首だが、本作は違う。おしまいじゃなくて、あとを引く。なんで。コロナ禍だから。コロナ禍だからひねってる場合じゃないし、「そのまんま」が切実に届くのだと思う。《無性に甘いものが食べたい 無性に辛いものが食べたい》と歌う“ああ無性”なんて、コロナ禍以降の自分とリンクしすぎでギクッとした。(兵庫慎司)

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