安心と興奮の名ギタリスト50周年

マイケル・シェンカー・グループ『イモータル』
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ALBUM
マイケル・シェンカー・グループ イモータル

自身初のバンドであるマイケル・シェンカー・グループのデビューから40周年。スコーピオンズ『恐怖の蠍団』収録の自身初の曲“イン・サーチ・オブ・ザ・ピース・オブ・マインド”を書いてから50周年。そんな記念すべき2020年に制作されたのが『イモータル』だった。シェンカーは当初、ロニー・ロメロなど固定メンバーでレコーディングするつもりだったが、想定外のコロナ禍のため曲ごとにラインナップを入れ換えることにしたという。

シェンカーは、マイケル・シェンカー・グループ、マッコーリー・シェンカー・グループ、マイケル・シェンカーズ・テンプル・オブ・ロックなど自身の名を冠したプロジェクトをあれこれ組んできたが、複数ボーカルの競演が見どころとなる『イモータル』は、マイケル・シェンカー・フェストのコンセプトに近い。結果的にお祝いにふさわしい、にぎやかな内容になったと思う。

聴きどころとしては、ロメロの節回しが亡きロニー・ジェイムス・ディオを連想させる“セイル・ザ・ダークネス”、ジョー・リン・ターナーが西部劇のイメージで歌った勇壮な“サングリア・モルテ”、本作のプロデューサーでもあるマイケル・フォスがマイルドな声を聴かせるバラード“アフター・ザ・レイン”などがあげられる。そのバラードでの哀愁のソロを筆頭に、シェンカーは彼らしいプレイを随所で響かせる。

ギタリストとしての出発点“イン・サーチ・オブ・ザ・ピース・オブ・マインド”のセルフ・カバーでは、マイケル・シェンカー・グループ初代ボーカルのゲイリー・バーデンをはじめ、ロメロ、ドゥギー・ホワイト、ロビン・マッコーリーも登場する構成。シェンカーが15歳の時に作った曲を歴代の盟友に歌わせ、自身の歩みをふり返り、過去の自分と対話するような演奏だ。

また、アルバムで最もインパクトが大きいのは、冒頭の“ドリルド・トゥ・キル”だろう。シェンカーはターナー、ホワイト、ロメロ(他に今回不参加のグラハム・ボネット)など、リッチー・ブラックモア率いるレインボーに在籍したメンバーと多く組んできた。だが、ギターとキーボードのかけあいで盛り上げるレインボー的な曲展開は、彼には珍しい。同曲に名手デレク・シェリニアン(ドリーム・シアターなど)が参加したのが理由なのだろうが、レインボー在籍経験のないラルフ・シーパース(プライマル・フィア、ガンマ・レイ)に歌わせたのが面白い。それにより、安心の定番だけでなくエキサイティングな試みも同居したアルバムになっている。(遠藤利明)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。
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マイケル・シェンカー・グループ イモータル - 『rockin'on』2021年3月号『rockin'on』2021年3月号
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