この音は、この想いは誰かに届くのだろうか――彼らは迷い、もがきながらも、この暗闇の先に誰かがいる、あなたがいるはずだと信じて音を放ち続けていた。だが今作の彼らは、暗闇で「あなた」という存在をしかと見つめている。物理的なコミュニケーションが制限されているからこそ、ソングライターの樋口侑希(Vo・G)は感性を研ぎ澄まし、視覚という概念を超えて、「あなた」を見つけ出すことができたのだろう。彼の刻む言葉も4人の鳴らす音も、迷いなく鋭く聴き手の心臓のど真ん中を射抜いてくる。
君と僕とをつなげるRING=輪になるべく制作されたノベル・コンセプトアルバム。彼らがライブハウスで磨き続けてきた鮮烈なロックを基盤に、各曲で思想の解像度を最大限まで高めたアレンジを実現させ、様々な想いを輪つなぎにしながら丁寧に届けることに集中している。物語やモチーフを用いた楽曲が続くなか、彼らの得意技とも言える剛速球ストレートなギターロックに率直な心境がしたためられた“綴リ”の高揚感に圧倒された。暗闇の先のあなたと直に会える未来が、彼らを強く生かしている。(沖さやこ)
君と僕と、音楽を信じてる
WOMCADOLE『共鳴howRING』
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ALBUM