約半年ぶりの新作は、前作『共鳴howRING』に続き「ノベル・コンセプトアルバム」として制作。「変化」、「薄明」、「旅鴉」をキーワードに、自身の等身大と向き合ったという。その6曲には変わらない信念を胸に、新たな旅へと羽ばたいていく勇敢な青年たちの姿があった。
葛藤から奮起するまでの過程を実直に綴る“mirror”、シリアスかつ軽やかなグルーヴと矢継ぎ早のボーカルの交錯が出発の高揚を描く“夜間飛行”、繊細なコードワークとセンチメンタルなメロディが焦燥感を作る“紫陽花”といったドラマ性の高い楽曲が並ぶ中、骨となるのがバンドや樋口侑希(Vo・G)の心情がダイレクトに投影された楽曲。“ペングイン”は躍動する波しぶきのように力強く、“ラブレター”はどうしたって変えられない核が持ち前の愛嬌とともに綴られている。どこまでも遠くへと吹かれていくような“hey my friend”も、音楽や聴き手に対してより素直に向き合う飾らない空気感が心地好い。助けを求めて叫んでいた泣き声は、遠くにいる君との約束を結ぶ鳴き声へ。バンドの頼もしさが、心に蔓延る陰を和らげる。(沖さやこ)
君に会いに行くから
WOMCADOLE『旅鴉の鳴き声』
発売中
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