かつてジョニ・ミッチェルとも共演した、長く豊かなキャリアを誇る大ジャズ・ギタリスト/作曲家パット・メセニー。昨年久々の全曲書き下ろしアルバムを発表し独特なギターのトーンとバンド・リーダーとしての才覚の健在ぶりを見せつけてくれたばかりだが、打って変わって本作はクラシック・ギターのために書いたふたつのオリジナル・スコアが軸となる。
本人も最終トラックでアルヴォ・ペルトの解釈を弾いているとはいえ演奏の主役はソロとカルテット。室内楽からフュージョンまでこだまする幅広いメロディと複数のムーブメント、ギターの多彩な音色と表情を通じ情緒あふれる音の旅路が広がっていく。
筆者が愛してやまない『ウィチタ・フォールズ』で組んだ盟友ライル・メイズ(PMGのKey奏者)が亡くなって1年と思うと切ないが、メセニーは広がり伸び続ける。(坂本麻里子)
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