ちゃんみな、最高！と、公開されたばかりのMVを観て、思わず深夜に叫びそうになった。最新シングルの表題曲“美人”は、根深く蔓延る外見至上主義への痛烈なアンチテーゼ。17歳で世間の注目を集め、楽曲やパフォーマンスが賞賛される一方で、容姿を貶める卑劣な言葉にも晒されてきたちゃんみなは、この怒りのカウンターを振り出すのに約4年の歳月を必要としたということ。そしてその分、この楽曲が表現するメッセージは単なる怒りにとどまらず、すべての人間に「美」の本質について考えるきっかけを与えてくれている。そしてミニマルにループするトラックにのせてキッチュにダークに展開するちゃんみなのラップは最高にクールだ。MVの「美しさ」から受け取るメッセージの量も凄まじい。ちゃんみなのダンス、演技、そしてラストは衝撃的だが、そのラストシーンにある真意も、固定化された「美」の概念に別れを告げ、再び歩き出すためのポジティブなメッセージだと受け取れる。カップリング曲“ダリア”に宿るブルーズも含め、ちゃんみなの歌と存在感に思いっ切りパワーと勇気をもらう。（杉浦美恵）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より