“融解sink”に続く、2021年第2弾デジタルシングル。壮麗なアレンジと力強いコーラスワークに彩られてエモーションを膨らませる、ミディアムテンポのダイナミックなナンバーに仕上げられている。タイトルは某有名仏壇仏具店のCMを思い出させるところもあるが、歌詞をよく読み込み、またMVに触れることで解釈の幅が広がる、懐の深い楽曲になっている。生きる歩幅も環境も異なる者同士が、共有することのできる時間や価値とはなんだろう。「しあわせ」の曖昧な定義よりも、Vaundyは皺を合わせて手を取り合う具体性から語ろうと試みる。一方、まるでVFX仕立ての大作ファンタジー映画のようなビジュアルとダンスパフォーマンスを融合させたMVは、突飛なようでこの曲の壮大な響きによく似合っている。多様な世代の多様な民族や種族が次々に登場し躍動するこのビデオは、分断が大きな課題となっている今日の世界に向けて“しわあわせ”の解釈をガイドする入魂のアートにもなっていると思う。歌の節回しに剥き出しの切実さを宿し、渾身の力で普遍と不変を投げかけるVaundyだ。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より