5月29・30日に幕張メッセにて行われた30周年記念ライブで初演奏された、シングル『Don’t be Afraid』以来約4年半ぶりとなるL'Arc～en～Cielの配信シングル“ミライ”。hydeソロではお馴染みのhicoこと堀向彦輝が共同アレンジャーとして初参加している点からも、作詞作曲を手掛けたhydeが同楽曲制作のイニシアチブをとっていることが窺える。が、あたかも巨大なロマンの方舟で無限のイマジネーションの世界へと漕ぎ出していくかのような陶然とした高揚感は、紛れもなくL'Arc～en～Cielにしか描き得ないマジカルな輝きに満ちたものだ。

ミディアムテンポの楽曲とメロディにめくるめく飛翔力を与えるアンサンブル。そして、《夜空へと向かい炎の矢を放て／闇を燃やして朝を呼ぼう》と聴く者すべてのネガティビティを明日への熱源へと昇華するような、冒険精神に満ちた詞世界――。リリースに先駆けてアナウンスされた「虹をかけよう。何度でも。」のメッセージの通り、終わりなき困難の中で濡れそぼった心にこそ希望の虹を映し出していくような、確かな訴求力と包容力を備えた名曲。（高橋智樹）

『ROCKIN'ON JAPAN』8月号より