いきものがかりが「放牧」中だった2018年2月に吉岡聖恵はソロとしての活動をスタートさせている。同年10月にリリースしたアルバム『うたいろ』は全編カバーで彼女の歌声の良さをしっかり堪能できる作品だったが、今回はソロとして初めて、オリジナル曲を制作している。“まっさら”と題されたこの楽曲は、自身も作詞に参加、そして
秦 基博が作曲を手がけた共同制作。オーガニックなバンドサウンドに乗せて響く、吉岡のやわらかなボーカルがとても心地好い。リラックスムードの伸びやかな歌声は、シンガーとしての新たな境地を感じさせて、とても新鮮だ。ソロとしてのスタートラインを新たに引き直すかのように、まさに“まっさら”な気持ちで楽曲に取り組んでいるのがよくわかる。歌うことへのときめきがその歌声にナチュラルに滲んでいて、とてもフレッシュな魅力を放っているのだ。《新しいメロディー まだ見ぬ景色よ/私を待っていてね/何度だって 旅に出よう》という歌詞にも、純粋に音楽への新たなモチベーションを手にした喜びが表れていて、この先の吉岡聖恵の歌がまた楽しみになる。(杉浦美恵)
『ROCKIN'ON JAPAN』2月号より