日本テレビ『news zero』のテーマソングとして3月末から流れている楽曲がついに配信リリースされた。
Vaundyが作詞・作曲を手がけたこの“惑う糸”という曲は、これまでの
菅田将暉にはないタイプの歌であり、シンガーとしての新境地を感じさせる。「決してすんなりとはいきませんでしたが、この曲を歌いながら、僕は迷って右往左往している時間を肯定してもらえた気がして、少し世界が明るくなりました」とは菅田のコメント。しかし「菅田さん独自の哀愁のある歌声がこの曲に色をつけてくれている」とVaundyが評したように、菅田ならではの、自身の感情に正直に向き合う芯の強さと、心の揺らぎや迷いさえも表現する誠実さをその歌声から受け取れる。それが菅田の「独自の哀愁」につながるのでありシンガーとしての魅力なのだと思う。どこか不穏なシンセドラムのビートと生々しく響く歌声の対比が、不確かな日常を生きる「今」を映し出している。このコラボだからこそ表現できた時代の空気だ。アー写やジャケ写の撮影、そしてMVの監督も担ったVaundyの総合プロデュース力にも注目したい。(杉浦美恵)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号より