祝え、その愛と糞に満ちたリアルを

Tele『NEW BORN GHOST』
発売中
ALBUM
Tele NEW BORN GHOST
幽霊とは基本的には世の中から外れた存在、不可視な存在である。ゆえに、こうして自らを『NEW BORN GHOST』と名乗るところにTeleこと谷口喜多朗が抱える孤独を感じるが、しかし同時にそこには「僕はもう降りました」とでも言うようなあっけらかんとした明るさがあるのも事実で、それが彼の音楽のチャーミングさに繋がっている。

Teleの音楽には「愛してる」と「ぶっ殺してやる」が、この世界の美しさと醜悪さが、死と誕生が、記憶と今が、ヒロイズムと諦念が、労働と夢が、怒りと退屈と恍惚が、自然に隣り合っている。割り切れないものが割り切れないままで、極彩色のポップスへと変貌していく。これは「本当のこと」を言おうとする音楽である。しかし、それは告発や告白というよりも、祝福として。さあ、糞と慈愛のシャンパンを開けろ。その存在を祝ってやる!――なんて愛らしく、そして痛ましいほどにリアルな音楽だろう。

理解されることもされないことも望んでいないだろう。ただ、この音楽は流れ着く先にいる誰かときっと繋がる。もう、どうしようもないほどに。(天野史彬)

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