新曲“ピアス”は、ピアスという体に穴を空ける行為を起点に、主人公である「私」が置かれている状況や心情を小説的に綴っていく。「私」が抱く喪失感が、キャッチーな歌メロが巧みに織り込まれることで、《そばにいてほしい》という孤独を埋めるストレートなメッセージを深く差すラブソングにみるみるうちに変容していく。クボタのストーリーテラーとしての力が大いに発揮されている楽曲だし、藤井 風などで知られるYaffleがサウンドプロデュースを担当し、軽やかに歌メロを際立たせるモダンなポップスとして仕上がっている。
そもそもフリースタイルラップにハマったところから音楽活動を始めたというZ世代。韻が冴えるラップと叙情的な歌が混在したスタイルで支持を広めてきたが、新世代のポップアーティストとして完全に整ってきている。（小松香里）
