ジャケットは自作の招き猫

斉藤和義『PINEAPPLE』
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ALBUM
斉藤和義 PINEAPPLE
約2年ぶりのフルアルバム。ポストパンク的なサウンドもインパクト大な1曲目“BUN BUN DAN DAN”は、その名が示すように「分断」がテーマだが、重苦しくはない。《一抜けたよ》と歌っているように、どこかあっけらかんとしている。続く“問わず語りの子守唄”も社会的なモチーフを感じさせるが、強いメッセージというより、苛立ちに内省とすっとぼけも混ぜて、「ぼやき」のようなテンションに持っていく。そこに、斉藤の醒めた眼差しが見えてくる。表題曲“Pineapple (I’m always on your side) feat. 藤原さくら”では、豊かで愛らしいカントリーサウンドに乗せて、安寧のメッセージが歌われる。アルバム後半には、“100年サンシャイン”や“泣いてたまるか”のようなオーセンティックなポップサウンドの名曲たちが待っている。それらは曲の美しさの奥に哀しみを乗り越えて生きる人の強さを抱いていて、作品に普遍的な深みと輝きを与えている。

多彩な音楽性、鋭さ、ユーモア、隠した涙、ロマンティシズム、希望――全13曲を通して、斉藤和義とはなんたるかを痛感させられる。傑作。(天野史彬)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋)


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