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    ギターの余韻に込めた想い

    マルシィ『ただそれだけのことがさ』
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    マルシィ ただそれだけのことがさ
    マルシィの最新シングルは、失った恋、その追憶を慈しむように丁寧に歌い上げる彼らの真骨頂ともいえるロックバラードだ。愛していた、そしてどうやら今も愛しているかつての恋人のことを、《触れることはもう出来ない/視界に映せない》存在として諦めながら、《ただそれだけのことがさ》と自嘲的につぶやくように歌うラスト。その先に続くはずの言葉をのみ込むように鳴るギターの音が、切なく余韻を引きずっていくよう。またDメロの「あの時こうしていれば」という後悔を歌うパートの切なさはとてもリアルに描かれていて、まるでドラマを描くようなソングライティングは吉田右京(Vo・G)ならでは。彼は、自身が経験してきたことや感情をかなりダイレクトに曲に投影するタイプである。ここで書かれた切なさや寂しさもきっと嘘偽りなく彼自身が感じてきたものなのだろう。だからこその体温を得てこの静かなバラードはリアルに鳴る。そしてそれが単なる過去への未練や振り返りで終わるのではなく、誰かと過ごす日々の尊さや大切さを伝えるものとなっているのがマルシィの恋愛曲の魅力である。(杉浦美恵)

    (『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)


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