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勢いよくうねるようなバンドサウンドに拳を突き上げたくなる表題曲は、くるくると変わる人間の表と裏を皮肉たっぷりに描く。誰かにとっての善は誰かにとっての悪で、その逆も然り。100%の正しさなど存在せず、すべての物事や行動は罪を孕んでいる――そんな真理を突く《つまりは この世に生ける全部、有罪。》《「君の気持ちわかるから」ってなんか、ウザい。》という強烈なラインは、他人からの厚意をうっとうしく思う心を肯定しつつも、自分の厚意は正しいと思いたいエゴにブスリと釘を刺す。この曲が今、凄まじい説得力をもつのは、田邊駿一の声に宿る感情やメッセージ性がここに来て数段色濃くなっているからだろう。“有罪布告”は私たちのエゴや矛盾を見透かし、こちらを試すような、顔を覗き込んでくるような不穏な声にあっという間に引きずり込まれるし、ストレートで壮大なラブバラード“DESTINY”の、静かに熱く語りかけてくるような声色には神々しさすら感じる。彼らの底知れない表現の幅を見せつける2曲。(藤澤香菜)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年8月号より抜粋)
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