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Adoを歌い手としてとりわけスペシャルに感じる点は、①巧者たちの中でもなお頭抜けた歌唱技術。②陰陽兼ね備えた快楽指数の極めて高い声質。そして③ウィスパーからシャウトまでボーカリゼーションをどう駆使しようと微塵も声の気持ち良さが損なわれないこと。つまり、①と②が完全に両立してしまっていることだ。直近の配信シングル群ではその3点を繋ぐ面積をいかに拡大できるかに挑むような濃密な情報量が込められた楽曲が続いていた。しかし、SSWのみゆはんの手によって《ああ/向日葵のように咲いて/天を仰いで笑って/ただ真っ直ぐな/あなたのようになりたい》と眩き「憧れ」が描かれたこの楽曲は、リリック通りに風通しのいい直球のポップソングとなっており、その曲作に応えた非常に真っ直ぐに、外連味なく伸びわたるAdoの歌唱を聴くことができる。それゆえ、彼女のストロングポイントの②を混じり気なしに堪能できるのである。優しく、繊細で、力強く、何よりエモーショナル。この声はあまりにも、心地がよすぎる。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年9月号より抜粋)
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