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昨年2月にショート尺のみでTikTokに投稿された楽曲の、待望のリリース。《東京 lonely night》《このまま 涙が止むまで/乾くまで 傘になって?》など、悲しみもにじむ歌詞なのに、曲調はとっても軽快。ハンドクラップで参加したくなる楽しさもある。もっと言うと、ハイトーンボイスが出てきたり、転調したり、波は起きるのだけれど、ウォーキングしながら聴きたくなるような、一定の、ある種の淡々としたビート感なのだ。《淡いほどに求めてしまうわ》《淡い期待を 確かめたいから》と、「淡い」というワードの独特な使い方も際立っているけれど、あらゆる意味で「淡」のリアルさ、心地よさが封じ込められた楽曲だと思う。振り子のように繰り返し韻を踏む《ない》《なるわ》というワードも、曲調としての心地よさの中で、揺れる心境をさらりと表している。「メロディがいい」「歌詞がいい」だけじゃない。これだけ立て続けに、重層的な面白さを深掘りできる楽曲を生み出すimaseは、やはり特別なポップミュージシャンだと思う。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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