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聴き手を鼓舞する力強さも、泣きメロのバラードも、ほとんど悪ノリな衝動直結のカオスも、これまで彼らが覗かせてきた要素だが、それらを各方向に突き抜けさせたときの破壊力がこれほどとは。EPIC移籍以降に続けてきた音楽的挑戦はこの『FANFARE』で、作風の変化ではなくポテンシャルの拡大に結実したようだ。SCOOBIE DOのマツキタイジロウが参加したR&Bテイストの“エニグマ”や甘酸っぱい90’sポップス節の“恋人よ”では新境地も見せつつ、骨格はあくまで持ち前のタフなロックンロール。ヤマグチユウモリの歌と鍵盤のみで通す“僕と心臓”には驚かされたが、メロディセンスは元から頭抜けていた。“宿酔”で二日酔い状態をひたすら生々しく描写して《もう絶対飲みたくないです》と宣言する姿も、《迷いながら進め》《立ち上がれ少年》と投げかける“俺たちのファンファーレ”や“HAYABUSA”のヒロイックな熱も紛れもなくSIX LOUNGE。ダメダメでロマンティックなロックヒーロー、彼らそのものだ。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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