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多くのリスナーにとってアップテンポな曲調のイメージのほうが強いと思われるNEEだが、“泣いとけば良かった”はバラード。寂し気なトーンのピアノを基調としつつ、清らかな光に溢れるかのようなクライマックスへと辿り着く展開が美しい。そして何よりも特筆すべきなのは、歌が生々しく浮き彫りにしていく感情だ。この曲を端的に紹介するならば「別れの歌」ということになるだろうが、なんらかの愛しい対象との別れに際して抱く感情が「寂しい」や「悲しい」というような言葉ですべてを語り尽くせるようなものではないことは、ある程度の年月を生きてきた人ならば思い当たるところだろう。どうにも言い表しようのない感覚を、この曲は「泣いとけば良かった」という表現をモチーフとしながら精緻に描写している。くぅ(G・Vo)がXでも言及している通り、“泣いとけば良かった”と“ばっどくらい”の歌詞の世界は繋がっている。両方を聴くことでさらに見えてくるものがあるので、それもぜひじっくり味わってほしい。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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