「閉塞感」「モヤモヤ」「爆発力」「やるせなさ」「ダンサブル」「ドラマチック」「息苦しさ」「躍動感」……このバンドに関して思い浮かぶ印象を大雑把に羅列していたら、互いに矛盾しているとしか思えない言葉が並んでいることにすぐに気がついた。とはいえ、矛盾を解消するための修正を加えると、実感からかけ離れたものになってしまうのは、なぜなのか? それは、この矛盾こそがNEEの本質だからなのだと思う。たとえば今作に収録されている“生命謳歌”は、ポジティブ極まりないように思わせるタイトルに反して、歌詞は悶々とした感情の描写が続き、サウンドにもどこか鬱屈したトーンがある。しかし、絶望的な曲というわけでは決してなく、必死に足掻いているかのようなサウンドが劇的な昂揚感を誘うという点で圧倒的に楽しく、生命の謳歌を表現した音楽だと称しても、何も間違いではない。この曲に代表されるように、生きる中で感じる重苦しい感覚に根差しつつも、「ワクワクできる音楽を開花させる」という大逆転をしてくれるのがNEEだ。今回のアルバムは、そういう素敵な反撃を連発してくれる。(田中大)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)
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