根暗な反逆児たちの祝祭

NEE『NEE』
発売中
ALBUM
NEE NEE
「エキゾチックロックバンド」を自称する4ピースバンドの1stフルアルバム。「エキゾチック」という言葉はかつてcero周辺でよく聞いたが、NEEはより内省的でチャイルディッシュな詩情を表すものとして、この言葉を使っているように思える。既にHey! Say! JUMPにも楽曲提供している22歳のコンポーザー・くぅは「村上蔵馬」名義でボカロPとしても活動しているようだが、彼の詩情からは、教室の片隅で佇む根暗な反逆児の、寂しくも高潔な情緒を感じる。だからだろう、NEEの音楽はダイナミックな躍動感を持ちながらも、そこには同時に、箱庭の鼓笛隊のような密室感がある。郷愁を感じる。純粋で無力な子供時代に日々感じ続けた鈍い痛みが、あの夏の記憶のように、大人になった今でも音にこびりついている。

全16曲、多面的な魅力のあるアルバムだが、特にファンクやヒップホップを「歌の感覚」としても昇華し、言葉がイメージの「断片」としても「物語」としても溢れるところに新しさと心地好さを感じる。バンドミュージックの新たな一手として、この先も期待したい。(天野史彬)

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