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この楽曲群に描かれているのは、夜の感傷に揉まれながらも光を求めることを諦めない人間の生き様だ。様々な色の感情に火を灯す歌声が、聴き手の心を鮮やかに焦がしてゆく。にんじん(Vo)と気鋭のコンポーザーがタッグを組む次世代音楽プロジェクトによる初のパッケージ作品。名立たるクリエイターが制作した切なくもポップな楽曲群には、悲しみを受け入れてそれを乗り越えていく人間の姿が刻まれる。にんじん本人がソングライティングを手掛ける、《あなた》へのまっすぐな愛情が綴られた“逢瀬のままにあなたのもとへ”は、共に生きていこうと手を伸ばすだけでなく、それをほどけないように固く結ぼうとする切実さがハートを揺さぶる。にんじんの言葉と歌をキャッチーに際立たせるFINLANDSの塩入冬湖による編曲も小気味よく、なぜにんじんが歌を歌うのか、なぜ今作のタイトルに「愛」が掲げられているのかを言葉以上に伝えてくれる楽曲だ。傷だらけになりながらも生きる「僕ら」の物語は、どれも高揚感に溢れる。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年2月号より抜粋)
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