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昨年の暮れ、自分たちの手で「ロック」という言葉の再定義を試みる新たなバンドの代表曲“精神ロック”を放ったヤングスキニー。かと思えば、この2024年最初に届けられたのは切なくもポップな“恋は盲目”である。聴き手を翻弄するようなこの振り幅もまた、ヤングスキニーの「らしさ」であると言える。ただ、この“恋は盲目”は前提として人と人の別離を描きながらも、そこからひとりの人間が徐々に再生していく姿を描いているという点で、かやゆーの詩情に新しいものが芽生えていることも感じさせる1曲でもある。ドラマ『瓜を破る~一線を越えた、その先には』のオープニングテーマとして書き下ろされた1曲。絶妙にスピードを変える曲調と同じように、歌詞でも主人公の心模様の「変化」が歌われる。再生する人。《あなたがいなくなった今も/一人でなんだかうまくいっているわ》というフレーズから浮かび上がる生命力。サウンドは生々しく、ざらついた質感を残しながら、軽快さを手放さないところもいい。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年3月号より抜粋)
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