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この原稿を書いている今、韓国のSpotify「バイラルトップ50」3位にランクインするほど、国内だけでなく海を越えて広がりを見せている“魔性の女A”。このヒットは偶然などではなく、才女・紫 今による緻密なトラックメイキング、歌唱の表現力、社会をまるごと巻き込んで総合芸術を作ってやろうとする創造力によるもの。和の音色や旋律からクラシック、シティポップ、ファンク、K-POP、ギターロックへとパートごとにジャンル感が移るトラックに、各世界観にリンクさせた言葉と歌い方を用いて、「美」の定義とは時代や国によって変化するものだから縛られるのではなくあなたが思う美を追求すればいい、といったルッキズムに対する風刺と救いのメッセージを表現。しかも外見に敏感な人たちが自撮り動画をあげたくなるサビに仕立てたうえで、フル尺を聴けばそんな提言に辿り着く仕掛けになっている。さらには韓国リスナーに届けることを見据えたうえで言葉選びや発音を工夫したというのだから……発想力の深さが恐ろしい。(矢島由佳子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年7月号より抜粋)
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