SNSでなんらかの意見を発信している投稿を見ると、同じ考えを持っている人からの共感は得ているけど、肝心の「考えを見直してほしい人」には届いていないともやもやすることがよくある。自分の周りには自然と考えの近い人が集まってくるものだし、ボタンひとつでフォローし合えるSNSでは自分に都合のいい情報を簡単に取捨選択できるから、より顕著にそれを感じるのかもしれない。
だから、紫 今のSNSで話題沸騰の新曲“魔性の女A”にまつわるこのインタビューを読むと、そのクレバーさにきっと驚くのではないだろうか。
この曲に込められた真のテーマは、時代や国によって美の基準は違っているにもかかわらず、容姿だけで人の価値を判断することがいかに不確かなものであるか、ということ。
しかし、“魔性の女A”はもともと、《魔性の女 フェイスラインがマドンナ/上目遣いがたまんないや》《魔性の女 色気フェイスラインが/世界中釘付けよ》といったサビの歌詞が、好きなアイドルなどを布教するための「推し動画」で使われるようになり、徐々に火がつき始めていった。
あえて外見の美しさにフォーカスするような歌詞──そのフレーズに惹かれる人にこそ、このメッセージを届けたいという思惑があり、サビにはメッセージ性を意図的に入れなかったと紫 今は語っていた。確かに、この曲全体にルッキズムをテーマにしたような言葉が散りばめられていたら、ルッキズムを日頃から意識している人にしか届かなかったかもしれない。
音楽とバズを巧みに利用して、自分の思いをみんなが知らず知らずのうちに世間に浸透させていく紫 今にワクワクが止まらない。先日公開されたMVにもそんな緻密な楽曲同様にたくさんのメッセージが込められているので、既に曲を知っている人もインタビューを読んだあとにぜひ何度も見返してみてほしい。(有本早季)
紫 今のバズ曲“魔性の女A”に込められた真のメッセージとは? SNSでの拡散も見越して作られた緻密すぎる楽曲の全貌に迫る!
2024.05.14 18:30