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ギター、ベース、ドラムによるシンプルな3ピースロックを奏でつつ、様々な工夫を凝らしているメジャー1stフルアルバム。サウンド面に関しては、比較的短い尺の中に多彩な展開を凝縮し、効果的なコーラスのハーモニーを随所で発揮するのが、このバンドの十八番となっている。そして、歌詞の言葉遊びのユニークさによって作風の幅を広げているのも、注目させられる点だ。たとえば“愛魔性の女”は、抗えない魅力を持った女性に翻弄される男性を描きつつ、「愛魔性」と同音である「会いましょう」の意味も含ませて物語を構築している。弄んだ男性への率直な気持ちがタイトルのローマ字読みに示されていて、歌詞にも巧みに盛り込まれている“SHI'NE”、登場するキャラクターの姿を言葉遊びでも浮き彫りにするテレビアニメ『小市民シリーズ』EDテーマ“意解けない”など、歌詞とじっくり向き合うと仕掛けに気づいて魅力が倍増する曲がたくさんあるので、言葉の意味だけでなく、音の響きにも注目して聴くことをお勧めしたい。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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