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ここ1年のなきごとの進化がすごくて、アレンジャーとの共同作業を通してサウンドの幅を広げ、歌詞も水上えみり（Vo・G）の想いがよりダイレクトに伝わるような表現が増えた。今作はそんな変化を遂げたなきごとの1年が凝縮された集大成的アルバムだ。新録の“sniper”では編曲に江口亮を迎え、これまでになかったグランジを基調とした重厚感あるサウンドをなきごとなりの解釈で堂々と鳴らし、“またたび”では《ねこ》で本音を隠しつつも、ストレートな恋心が可愛らしく顔を覗かせる。そして、なきごとがお酒をモチーフにすると名曲が生まれると勝手に思っているが、リード曲“安酒にロマンス”は、生活の中で感じるやるせなさや疲弊した心にすぐ隣で寄り添ってくれるバンドの真骨頂ともいえる曲。以前からライブでは披露していた曲だが、今のなきごとが歌うとすごく説得力がある。一人ひとりの弱音を受け止めたいという想いは変わらず、それをひとつも取りこぼさないようにと、表現の幅をどんどん広げていく姿は最高にかっこいい。（有本早季）

（『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋）

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