なきごとの新曲“退屈日和”を初めて聴いたとき、正直に言うと「結構ひねくれた歌詞だな」という感想を抱いた。私だったら、どんなに自分が寂しい思いをしていたとしても、大切な人からはいい人だと思われたいし、かっこつけて「いつも楽しく幸せでいてほしい」と伝えてしまうと思ったからだ。
でも、今回なきごとのふたりにインタビューをして、むしろひねくれていたのは私のほうだったのではないかと思わされた。自分が大切な人のそばに居られないとき、退屈に思う=それほどにその人と一緒に過ごす時間が楽しい、という気持ちを、相手も自分と同じように感じていてほしいと願うことは、むしろいちばん素直な愛情表現なのではないかと思ったのだ。
なかなか素直になれないけど本当は心の奥底にはある感情を、見事に言語化してくれたのがこの曲の素晴らしいところだし、時には「なきごと」を言ってもいいのだと、リスナーの日常に寄り添い続けてきた彼女たちだからこそ歌える歌だ。
バンド結成5周年の節目にリリースされた“退屈日和”を含むデジタルシングル『君と暮らしの真ん中で』は、初めてアレンジャーを迎え入れ、サウンド面でもバンドの新境地を切り拓いた。「よりなきごとらしく、でも今までにないなきごとを表現したい」という水上えみり(Vo・G)の言葉通り、なきごとの強みも新しさも詰まった作品となっている。
そんな最新作に込められた想いと、バンドの5年間を振り返るインタビューは、現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号とrockinon.comにそれぞれ掲載中。ぜひ曲とあわせてチェックしてほしい。(有本早季)
『ROCKIN'ON JAPAN』12月号のご購入はこちら
人々の「なきごと」に寄り添うバンドが結成5周年の節目に送る、いちばん素直な愛の歌“退屈日和”――なきごとの強みも新しさも詰まった最新作への想いに迫りました!
2023.11.08 18:00