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2ヶ月連続で配信リリースされたマルシィの新曲2曲が好対照で非常に興味深い。まず“ピエロ”は打ち込みのビートにバンドサウンドを融合させた不穏なダンスポップチューン。まさしく彼らの新機軸であり、多彩な恋愛曲を生み出す吉田右京(Vo・G)のソングライティングの中でも、これほど毒を纏った恋愛曲は初めてだ。《爪を剥いで詫びて愛して》と、自らの愛の沼に沈んでいってしまいそうな危うさが乾いたサウンドに潜んで、新たなマルシィの魅力を打ち出している。一方の最新曲“プレゼント”はバンドの真骨頂とも言うべきミドルバラードで「相思相愛」をテーマに描いたラブソング。ベースラインは大切な人と一歩一歩確かめるように歩いてきた道のりを感じさせ、あたたかなギターサウンドとストリングスが幸福なふたりの未来を彩るように響く。まるで別の表情を持つこの2曲。深い愛情が孕む闇と光を対比的に描いた楽曲を続け様にリリースすることで、マルシィの描く「ラブソング」の定義がまたひとつ更新されたと言える。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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