闘いの果てのポップ

木村カエラ『HOCUS POCUS』
2009年06月24日発売
ALBUM
木村カエラ HOCUS POCUS
デビューから5年、木村カエラは闘い続けてきた。誰にも似ていない個性を武器に、モデル出身であるというある種のハンデも跳ねのけ、フェスで受け入れられてナンボの時代を駆け抜けてきた。そうして、いつの間にか重装備になっていた鎧を脱ぎ去り、彼女の心の柔らかな部分で作られているのが今作『HOCUS POCUS』。今年の1月にリリースされたシングル曲“どこ”で渡邊忍が書いた《ほんの少しの幸せでいいんだ/そのきっかけを探してるよ》なんて言葉に、彼女はこれまで歌ってきたことへのひとつの答えを見つけることが出来たという。そして、この曲は音楽に向き合う時の彼女の気持ちを素直に洗い流してくれたのだろう。素直になったからこそ見えた景色や、自分の心の葛藤だけじゃない誰かへの想いが外向きに作用した楽曲たちが並んでいる。特に“Butterfly”や“season”などは新境地。これまでの、まるで発明品をデモンストレーションするような時期を過ぎ、受け手との繋がりを、そこにある温かいものを、あらかじめパッケージした。彼女が闘いの果てに手にしたポップ・ミュージックである。(上野三樹)
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