rockin’on8月号の「ニューゲイザー」特集では本筋と違うのであまり触れなかったのだが、このフランス産ドリーム・ポップ・デュオ=M83やドイツのエレクトロニカ・レーベル=モーの看板であるラリ・プナ(活動休止中ですが)のような、エレクトロニカの方向からシューゲイザー的音像にアプローチするという方法論はインディ・ミュージックにおいてはわりとポピュラーなものだ。それだけシューゲイザーというものが雛形として優れているということでもあるし、エレクトロニカがそもそも箱庭的な「閉じた世界観」のもとに成立していることとも無関係ではない。ただ「土曜日=青春」と題されたこのアルバムが徹頭徹尾きらきらと眩い「あの日」の輝きで満ちているように、そこには何ともいえない多幸感がある。M83とはうみへび座のある星雲の呼称だが、まさに遠い宇宙の果てでノスタルジーに思いを馳せるような浮遊感が本作の肝。やっぱり、閉じてはいてもロマンティックなのだ。これまでの彼らのアルバムと較べてもその感触は強く、それだけに儚さすら感じさせる。80s風味のビートやシンセも、そんなムードに拍車をかける好材料。(小川智宏)