欲望と妄想のあらん限りを濃縮パッキングした、危険なほどビンビンに充血したCKB最新アルバム。とにかくほとばしって止まらない女性賛美を託した冒頭の“VIVA女性”から、ノンストップで展開されるクレイジーな「男の業の吐露」に圧倒される。不況もオバマ政権も麻生もマイケルも関係なく、ただひたすら「♂である自分のリアリティ」をストレートに音楽に刻印する……ここまでやってくれたら、女としても「天晴」と言うしかないよ。剣さん、素敵っス。
一皮向けばアニマルな男性の本性、「草食男子」の時代だなんだと言われつつも、不変だってことは知っているけど、本気で大人を生きてるアーティストからこうした球を投げられると、襟元を正さずにはいられない。それはまた、一皮むけばアニマルである女の性を知り尽くした達人からのメッセージとも受け取れる。卑近で手垢にまみれた日常と、非日常の疼きの間でダブルバインドの責め苦にあう“夕食”の、なんと狂おしいことか。フレイバーは違うけど、全盛期のピチカート・ファイヴに近い「表現者の究極のファンタジー」を感じた。(小田島久恵)
飢えた男の孤独感、好きです
CRAZY KEN BAND『ガール!ガール!ガール!』
2009年08月12日発売
2009年08月12日発売
ALBUM