秋田県在住のニューカマー、鴉(からす)。ビジュアル系か?と一瞬思わせるバンド名とは裏腹に、朴訥なたたずまいの3人が骨太なリフとリズム、そして感情をギリギリまで振り絞るボーカルを心のど真ん中に叩きつけてくる、熱い実力派ロックバンドである。表題曲“夢”のテーマはずばり「胡蝶の夢」。悪い夢から覚めるたび、この現実が実は単なる幻かもと怯える男の物語が、キャッチーで起伏の激しい歌メロに引っ張られて、グイグイと2分44秒を疾走する。この焦燥感はきっと、彼らが音楽を鳴らす理由と直結している。自分が生きているのか、ただ生かされているのかわからない。そんな日々を輝かせる唯一の瞬間が、彼らにとってはこのロックなのだ。演奏の密度と速度を上げて、喉が焼けるほどに叫ぶ。肉体を追いつめるほど、生きている実感は強くなる。そこらじゅうに悲観主義がどんよりと吹きだまるこの時代に、この尖ったエモーションはきっと届くはずだ。英語を一切使わず、日本語で後悔やコンプレックスのような感情をむき出しに描く歌詞も、青さを隠さないところがとてもいい。期待大。(松村耕太朗)