そう、このバンドは無自覚なのにこんなとんでもない音楽をやってしまうのである。自覚的だったらきっと足が竦んで作れなかっただろう、そんな底抜けと紙一重な驚異のポテンシャル。それがザ・テンパー・トラップだ。極めて構築的な、しかも空恐ろしいほどビッグ・デザインな音楽。再構築とかリ・デザインではなく、どデカイ荒野にゼロから国を作り上げていこうとするような音楽である。ジム・アビスのプロデュースがこんなに意味を持っている新人のアルバムも初めてだ。大人の知恵と経験が、彼らの音楽を翻訳するには不可欠なのだ。アークティック・モンキーズのファーストにおいてアビスがほとんど仕事をさせてもらえていなかったことを嫌でも思い出すわけだけど、彼らがアークティックスと対照的で両極な、そして等しく重要な2000年代の才能であることは間違いない。(粉川しの)
久々の大器晩成型
ザ・テンパー・トラップ『コンディションズ』
2009年09月30日発売
2009年09月30日発売
ALBUM
そう、このバンドは無自覚なのにこんなとんでもない音楽をやってしまうのである。自覚的だったらきっと足が竦んで作れなかっただろう、そんな底抜けと紙一重な驚異のポテンシャル。それがザ・テンパー・トラップだ。極めて構築的な、しかも空恐ろしいほどビッグ・デザインな音楽。再構築とかリ・デザインではなく、どデカイ荒野にゼロから国を作り上げていこうとするような音楽である。ジム・アビスのプロデュースがこんなに意味を持っている新人のアルバムも初めてだ。大人の知恵と経験が、彼らの音楽を翻訳するには不可欠なのだ。アークティック・モンキーズのファーストにおいてアビスがほとんど仕事をさせてもらえていなかったことを嫌でも思い出すわけだけど、彼らがアークティックスと対照的で両極な、そして等しく重要な2000年代の才能であることは間違いない。(粉川しの)