『PARADISE BLUE』からアルバム・ツアー、ヨーロッパ公演、巨大フェス転戦、そしてトーキョースカジャンボリーと続いてきた09年上半期スカパラ劇場。とりあえずその中間レポートという感じで流れ出すのがこの“KinouKyouAshita”である。優しくも力強い欣ちゃんシングス。《一人じゃないと／励まされても／まるで意味がわからない／君》にこそ届くべき歌だ。スカパラのメッセージが上っ面だけ威勢のいい掛け声と異なるのは、「行こう」ではなく「行っちゃった」という、ほとんど事後報告のような即時的行動原理によってメッセージが生み出されるからだ。「昨日、今日、明日」ではなく“KinouKyouAshita”な、この連続感・アドリブ感こそスカパラである。

カップリングはまず英語詞ユニゾン・ボーカルの“Give Me Back My Ball”。人間関係の協調性をサッカーになぞらえても「いいから一旦俺にボール戻せよ」になってしまうのはさすがの谷中節。続いてステージでも披露されていたエディット・ピアフの名曲“愛の讃歌”カバー。そして極めつきに初期作品メドレーのライブ・テイクも収録。（小池宏和）