こんだけ好き放題やっちゃったら、あとが大変だろうに。と余計な心配やらおせっかいすら焼きたくなるくらいに、とことん「好き」を詰め込んだアルバムだ。こってりとハードロック/メタルなリフやギター・ヒーローへのオマージュだったり、様式美を感じさせるサウンド展開や何声ものコーラスだったり、あるいはパンクなビートもヒップホップ的グルーヴもあれば、エスニックなフレーズや速弾きもある。パーツはそれぞれ明快だが、組み立てると瞬時にスケールや単位が不明となる。総じて『SPACE OPERA』と呼ぶほかないサウンドなのだ。でもって、ポップど真ん中のシリアルらしいメロディが、このテクニックもごった煮の感性もがカオス的になったサウンドに、事もなげにさらっとのっている。
一体何がしたいんだと言う人もいるだろう。が、これこそ、ロック“オタクな”少年、ギター“オタクな”少年が夢見る「ロック・アルバム」だ。しかも、ナンセンスなギャグにだってなりかねないアイテムをフルで使ってなお、骨太でエネルギッシュな作品へ昇華してるのである。あっぱれと言わずにおれない。(吉羽さおり)
壮大なる妄想を鳴らす
serial TV drama『SPACE OPERA』
2009年10月21日発売
2009年10月21日発売
ALBUM