ため息と都市のノイズ?が聴こえる“intro=汽空域”から始まり、アンビエントやダブなど、これまで以上にたくさんの音楽的なクロスオーバーに挑んでいて、バンドの野心がスパークしている。山口一郎による文学的な歌詞にも、一層のおもしろい違和感と味わい深さが生じている。サカナクションの音楽は、日々生活する街の空気と、山口の脳内に広がるイメージや心象風景とが重なり、そこに改革心に基づくエンターテインメント性が加わることによって、形になっていると思う。だからこそ、北海道から上京したことによって、都市の空気が歌詞から零れ、音に洗練されたクリアーさが現れるようになった。それを経て今作では、さらに大海に、というかもはや水中ではなく、どこででも自由に泳ぎ回れるような自由さとスケール感を手にしている。(小松香里)
出世魚のごとく
サカナクション『kikUUiki』
2010年03月17日発売
2010年03月17日発売
ALBUM
ため息と都市のノイズ?が聴こえる“intro=汽空域”から始まり、アンビエントやダブなど、これまで以上にたくさんの音楽的なクロスオーバーに挑んでいて、バンドの野心がスパークしている。山口一郎による文学的な歌詞にも、一層のおもしろい違和感と味わい深さが生じている。サカナクションの音楽は、日々生活する街の空気と、山口の脳内に広がるイメージや心象風景とが重なり、そこに改革心に基づくエンターテインメント性が加わることによって、形になっていると思う。だからこそ、北海道から上京したことによって、都市の空気が歌詞から零れ、音に洗練されたクリアーさが現れるようになった。それを経て今作では、さらに大海に、というかもはや水中ではなく、どこででも自由に泳ぎ回れるような自由さとスケール感を手にしている。(小松香里)