ガンズという運命

スラッシュ『スラッシュ ~デラックス・エディション』
2010年03月31日発売
ALBUM
スラッシュ スラッシュ ~デラックス・エディション
いきなりアルバムの1曲目から“パラダイス・シティ”を彷彿とさせるコード進行が登場して驚く。2曲目でボーカルを担当するのはオジー・オズボーンで、彼が最も得意とするスロー・テンポのハードなロック・ナンバーが炸裂する。この頭の2曲を聴いただけで、スラッシュ先生がかなり本気であることは一目瞭然。ギター・フレーズもだいぶ練り込まれていて、この人ならではのキャッチーでわかりやすく立体的なアレンジがこれでもかと散りばめられている。先頃、約100億円と言われるガンズ再結成の巨額オファーを蹴ったことを語った彼だが、そろそろ背に腹は代えられないとでも思ったのだろうか。イギー・ポップ、デイヴ・グロール、ダフ・マッケイガン、クリス・コーネル、キッド・ロック、ファーギーなどなど、豪華ゲストが大結集した満を持してのソロ・アルバムである。

しかし、このクオリティの高いアルバムを聴き進めていくほど気付いてしまうのは、アクセルという存在の大きさである。今回ゲスト参加しているボーカリストは全員がそれぞれのキャリアで大きな成功を収め、確固たる地位を築いた人達ばかりだが、それでもスラッシュのギター・ワークに拮抗するようなパフォーマンスをできている人は少ない。ガンズはハード・ロックの一形態ではなく、ガンズ自体が一つのジャンルであり、そのためにはスラッシュの存在と共にアクセルという人がどうしても必要となってしまう事実がそこにはある。しかし、そのなかでオジー、モーターヘッドのレミー、イギーという親父連が気を吐いていて、それがオモロい。(古川琢也)
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