LCDサウンドシステムの集大成、いや、結論のようなアルバムである。このアルバムで最後にしたいとジェームス・マーフィーが言うのも納得できる、「結び」の一枚である。2000年代、ダンス・ロックと呼ばれるものが一新された時代から、トレンドとなった時代、そして常態となった時代の全てにおいて通奏低音であり続けてきた彼らに、これ以上残されたタスクは無いようにも思える、それほどまでに普遍的なポップ・アルバムである。ディスコとパンクとファンクとロックとエレクトロニカの相関関係をスマートに定義したこのユニットの果たした役割はあまりにも大きいが、マーフィーは別にそれを定義しようとしてやってきたわけではない。最高に輝く瞬間を積み重ねる瞬発力でここまでやってきた、まさに「ディス・イズ・ハプニング」な道筋だったのである。そして論理的に普遍を目指したわけではない彼らが辿りついてしまった普遍の本作によって、LCDサウンドシステムは完結する。マーフィー達がパンダの着ぐるみの集団に襲われ、生ゴミぶちまけられ、パンツ脱がされ、爆竹投げつけられ、シャンパン浴びせられて祝福される“ドランク・ガールズ”のPVが素晴らしい。秩序やコンテクストは意味が無い、今そういう地点に彼らは立っている。マーフィーは「アルバムの役割は終わった」「小説でも書いて余生を送りたい」とか余裕ぶっこいているが、それはこんなアルバムを作った彼だからこそ言える戯言だ。幾多のバンド達にとって逃げ隠れできないハードルが、ここにはある。(粉川しの)