そして人魚は炎の化身となる

Cocco『ニライカナイ』
2010年06月09日発売
SINGLE
Cocco ニライカナイ
純然たるシングルとしては『ジュゴンの見える丘』以来約2年7ヵ月ぶりとなる今作は、タイトル曲“ニライカナイ”のハイヤ、イヤサッサ!という高らかな民謡調の歌い回しから始まる――しかし。ここにいるのは、“ジュゴン~”で海風の如く柔らかな表情を見せていたCoccoではない。沖縄と本土との軋みが改めて顕在化した今、大地の怒りに突き動かされるかのように、ひりひりと肌を焼くようなギター・サウンドの海へと再び身を投じた「悲壮なる祈りの人」としてのCoccoだ。聴く者すべてを震撼させる琉球國祭り太鼓のリズムと《龍神よ 出でよ/眠れぬ獅子よ 叫べ/生まり島 忘んなよ》という言葉とともに、彼女は今、沖縄の化身の真紅の人魚として、社会に作用するロック・ミュージックの真価を、そして僕ら1人1人の思いの力を、根底から問い直そうとしている。自我の暴発とも、内省の重力崩壊とも、地元・沖縄の雄大さとも真っ向から向き合ってきた彼女だからこそ描ける、闘いの曲。今作にこめられた彼女の意志をスルーするということはつまり、現実から/ロックから逃げるということだ。(高橋智樹)
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