ロック・シーンの最前線で、意識としてではなく、明確な言葉として2010年代を描こうとした作品はこれが初めてだし、それを真っ先にやるのはやはりアジカンだった。“新世紀のラブソング”の音像で新しい空気を描き、《役目は終わりさ 銀のディスク》《ハードディスクこそ 意味を》(“マジックディスク”)と音楽の状況を撃ち抜き、“さよならロストジェネレイション”で濁ったネガティビティを一掃する。そして――《「繋いで」それだけを頼りに意気込んだ彼らの/屍 掻き集めるなら新しい何かを》と歌う“イエス”で、彼らは「00年代のアジカン」すら後にしてみせる。当初から「自分たちの屍を乗り越えて、みんなでロックを先に進めてほしい」と悲壮な決意を語ったゴッチ自身が、かつての自分たちを「屍」と呼んで踏み越えようとしている。この曲がNYレコーディングという新しい息吹を必要としたのも偶然ではないだろう。“迷子犬と雨のビート”のエネルギッシュなポップ感すら、今作においては1つのバランサーに過ぎなかったことに慄然とする。そんなダイナミックなロック・アルバムだ。(高橋智樹)