満を持しての“3作目”

コーン『コーンⅢ ~リメンバー・フー・ユー・アー~』
コーン コーンⅢ ~リメンバー・フー・ユー・アー~
約3年ぶりとなるKOЯNの新作は、無題だった前作とは対照的に、タイトルに決定的な意味が込められたアルバムだ。方向性を変えて大ブレイクした『フォロウ・ザ・リーダー』以降、彼らは前作まで6作にわたってアルバムごとに実験的な挑戦を続けてきたわけだが、通算9作目となる今作で「自分が誰かを思い出す」べく本気の原点回帰を図り、初期2作のヴァイブを取り戻した真の意味での3作目を作り上げたのだ。プロデューサーには初期2作を手掛けたロス・ロビンソンを呼び戻し、プロトゥールズを使わずバンドが出す音だけにこだわったサウンド作りまで徹底していて、不気味なグルーヴと容赦ないヘヴィネスが融合したKOЯNサウンドの原型かつ最強の頂点がここにある。ギターがクリーンな分、ベースとドラムがはっきり聴こえ、オーバーダブなしのボーカルからはむき出しの感情が生々しく伝わってきて、音の構成はシンプルでも全体の強度というか狂度が凄まじくて圧倒される。ファーストを思わせるアルバム・カバーもかなり不穏なイメージだが、各曲が抱える闇はさらに深く、M7の語りの部分や、M9の笑い声、M10のエンディングなど、はっきり言って怖い。彼らはこのアルバムで自分達がやりたいこととバンドに求められていることの両方を追求し、ボーカル、ギター、ベース、ドラムという最小限の要素から最大限の衝撃を与える音楽を再び作り上げてみせた。それを、作風を変えながら進化してきた長い年月の後で改めてやってのけるところに、このバンドの底力を感じる。ラウドパークで久々の来日決定!(網田有紀子)
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on