アンダーワールドは世界レベルのダンス・アクトでありながら、ダンス・ミュージックにありがちな軽薄さを忘れさせてしまう、類まれな存在であり続けてきた。あなたを、私を祝福するために、あなたと私が喜びを分かち合うために音楽は鳴る――というダンス・ミュージックの使命を全うしながらも、その実それとは正反対の、ノスタルジックで不器用なロック・ミュージックとしての文学性をけっして損なうことなく歩んできた。クラウト・ロックをはじめとするルーツに立ち返ったのも、アンダーワールドにその自覚があったからではないか。前作と比較するとなおさらとっつきやすく、条件反射で踊り出してしまうトラックが揃っているにも拘らず、その内側には、変わらずに醒めた文学性とノスタルジアが佇む。このサウンドが踊らせるのは、フロアだけでなく世界中のベッドルーム。その意味でも、変わらない。(羽鳥麻美)
突き抜けたポジティビティを支える本質
アンダーワールド『バーキング ‐デラックス・エディション』
2010年09月02日発売
2010年09月02日発売
ALBUM+DVD
アンダーワールドは世界レベルのダンス・アクトでありながら、ダンス・ミュージックにありがちな軽薄さを忘れさせてしまう、類まれな存在であり続けてきた。あなたを、私を祝福するために、あなたと私が喜びを分かち合うために音楽は鳴る――というダンス・ミュージックの使命を全うしながらも、その実それとは正反対の、ノスタルジックで不器用なロック・ミュージックとしての文学性をけっして損なうことなく歩んできた。クラウト・ロックをはじめとするルーツに立ち返ったのも、アンダーワールドにその自覚があったからではないか。前作と比較するとなおさらとっつきやすく、条件反射で踊り出してしまうトラックが揃っているにも拘らず、その内側には、変わらずに醒めた文学性とノスタルジアが佇む。このサウンドが踊らせるのは、フロアだけでなく世界中のベッドルーム。その意味でも、変わらない。(羽鳥麻美)