今まさに開花

インターポール『インターポール』
2010年09月08日発売
ALBUM
インターポール インターポール
メジャーのキャピトルとの契約を前作『アワー・ラヴ・トゥ・アドマイヤー』一枚で終わらせ、再び古巣のマタドールへと舞い戻った新作。しかも1曲目のタイトルが“サクセス”とくれば、メジャー・システムに幻滅したバンドが幾分のニヒリズムと共にインディ回帰した一枚か?と穿った見方をしてしまうのも致し方ないかもしれない。しかし、本作はそんな反動によって生まれたアルバムではない。「原点回帰であり新機軸」とポールは評したそうだが、むしろ本作は原点を踏まえつつもインターポール史上最もオープンで雑多な印象すら受ける、インディ・スノビズムから遠く離れた作品なのだ。無機質なビートが刻まれるエレクトロ・ナンバーもあれば、重厚なオーケストラ・ナンバーもあれば、陽性な開放弦が先導するストレス・フリーなナンバーもあれば、U2みたいなロック・ナンバーもある。そしてもちろんポスト・パンク由来の漆黒は依然としてアルバムの基調として塗りこめられている。そもそもインターポールとは脅迫観念的なまでの「禁欲インディ」の彼岸に立っていたバンドだが、今、彼らの独自性は初めての自由を謳歌している。(粉川しの)
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