インターポールの13年ぶりの単独来日公演、デビューAL再現&ヒット曲満載の2部構成ライブを観た!

インターポールの13年ぶりの単独来日公演、デビューAL再現&ヒット曲満載の2部構成ライブを観た! - pic by Kazumichi Kokeipic by Kazumichi Kokei

インターポールが日本でライブを行うのは2007年のサマーソニック以来。単独公演としてはじつに13年ぶりのこと。しかも今回は、2002年の1stアルバム『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』の再現ライブに加えて、この夏リリースされたニュー・アルバム『マローダー』からの新曲を含むグレイテスト・ヒッツを披露する、という2部構成。そんな特別なセットが組まれたこの日一夜限りのステージは、まさにインターポールというバンドの始まりから現在までを総攬するようなまたとない機会となったように思う。

1部の『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』のセットは、“Untitled”から “Leif Erikson”までアルバム収録順に披露していく文字どおりの「再現」ライブ。なかでも“NYC”や“Say Hello to the Angels”といった代表曲には一際大きな歓声が上がるが、しかし、その力強く引き締まった演奏にはノスタルジーや感慨を誘うようなところは微塵も感じられない。ポール・バンクスとダニエル・ケスラーという「静と動」の2人のギタリストが奏でる重厚な音のテクスチャー。テクニカルではないがドスドスと馬力のあるビートを叩き続けるサム・フォガリーノのドラム。そこにサポートでベースやキーボードを加えたバンド・サウンドは、当時ポスト・パンク・リバイバルとして括る評価が占めたあのアルバムのイメージを骨太なモダン・ロックとして甦らせていたように思う。そして、鞣されたように低音の艶を増したバンクスのボーカル、至高。

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しばし休憩を挟み、2ndアルバム『アンティックス』(2004年)収録の“Not Even Jail”で始まった2部のグレイテスト・ヒッツ。聴きたかったのはやはり『マローダー』からの新曲で、とりわけ “The Rover”や“If You Really Love Nothing”が披露するアップリフティングでグルーヴィーなリズムは白眉だった。開演前のSEではケンドリック・ラマーも流れていたが、バンクスいわく現行のヒップホップやラップ・ミュージックに刺激を受けて制作された『マローダー』は、かれらが現代=同時代性というものを意識したモダンなロック・バンドであることを物語る一枚。少なくともかれらには、過去の遺産で食いつないでいこうという気など毛頭あるはずもない。“Lights”や “Evil”などのヒット曲と比べると観客のリアクションこそ薄めだったが、しかし、このタイミングでインターポールの最新形を観ることができたことは大きな収穫、と実感することができる充実したものだった。

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折しもこの日は、アメリカでは中間選挙の投票日(現地時間11月6日)。「結果を顧みずに欲望のままに行動する略奪者」を歌った“Stay in Touch”もぜひ聴いてみたかったが……それはさておき。新たなクラシックとして生まれ変わった『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』と、バンドの現在地が威風堂々と示された『マローダー』。どちらのプレゼンスも素晴らしく、かれらのことをリアルタイムで追い続けてきたひとりとして誇らしくなるようなライブだった。(天井潤之介)

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<SET LIST>
【第1部】
Untitled
Obstacle 1
NYC
PDA
Say Hello to the Angels
Hands Away
Obstacle 2
Stella Was a Diver and She Was Always Down
Roland
The New
Leif Erikson

【第2部】
Not Even Jail
All the Rage Back Home
The Rover
If You Really Love Nothing
Lights
Number 10
NYSMAW
Slow Hands
Evil
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