これは本物

ノー・エイジ『エヴリシング・イン・ビトウィーン』
2010年09月15日発売
ALBUM
ノー・エイジ エヴリシング・イン・ビトウィーン
近年の「ローファイ・リバイバル」であったり「ニューゲイザー」に違和感を持っていたクチである。ローファイにしてもシューゲイザーにしても、そもそもの始まりは否定であり倦怠であり拒絶だった。それを一旦脇に置いておいて、サウンドスタイルやイメージと戯れながら、ジャンルと言葉だけが独り歩きしているような印象が拭えなかったのだ。ましてやペイヴメントの素晴らしい再結成公演を観た後ではそうだった。彼らの動機がずっと不思議だった。

けれど、そんななかで筋を通してきた数少ないバンドがノー・エイジである。ザ・スメルというアート・スペースを経営し、地元のコミュニティから出発した彼らは常に“具体的”だった。今回の新作も本当に素晴らしい。前作『ノウンズ』をも超えてしまったかもしれない。ぐしゃぐしゃのギターやどんしゃりなドラムは影を潜めたが、今時ギター・リフやメロディを振り回してもロックはアートにならないんだよという醒めた視点で、前作よりポップな曲を書いている。彼らにとってはローファイにしかアートのキャンパスを見つけられなかったのだろう。その自負が全曲に刻まれている。(古川琢也)
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