これぞバクホン!というべき闇のパワーで地獄の業火を燃やす前半。一変して、朴訥なまでに透明に等身大をさらけ出した“羽衣”“海岸線”の開放感。この世界に生きる罪と罰を、赦しと祝福に変換するドラマティックな終盤“汚れなき涙”“パレード”。多様すぎる楽曲群で最初は驚いたが、まるで壊れかけた世界をあどけない手つきで縫い合わせ、天地創造しているような静かな感動がある。
『ガンダム00』主題歌、詩集&CD、メンバー4人それぞれが曲を書いたシングル『戦う君よ』といった異化作用によって進化したバンドの一つの到達点がここにある。膨張するエネルギーが内側にスパイラルして自身を焼き焦がすことなく、熱く、まっすぐな言葉と音で聴き手、そしてまだ見ぬ誰かに向かっているのが何よりとてもいい。(井上貴子)