約１年７ヶ月ぶりの新作は、かなりテンション高く奇天烈なアルバム。オレンジレンジの今までのキャリアを振り返っても、これは「問題作」と言っていいんじゃないだろうか？　突き抜けるようなへヴィで爽快なミクスチャー・サウンド、耳馴染みのいいメロディを持つスケールの大きいバラード、という彼らの魅力の両面性は確かに今作にもある。“イカSUMMER”から“O2”までシングル曲もきっちり収録しているし、タイアップ曲も多いし、その辺を中心に聴けばキャッチーな作品とも言えるとは思う。が、それ以外の楽曲、特に“世界ワールドウチナーンチュ紀行〜シーミー編〜”“５”あたりが奇妙なサイケデリックで強烈なインパクトを持っている。“ソイソースＶＳペチュニアロックス feat．ORANGE RANGE”“現実逃避”あたりも不思議な世界観だし、冒頭の“Beat it”も一筋縄でいかない曲展開を見せる。アルバム全体に夏っぽい季節感と陽性のメロディがあるだけに、そこからハミ出すカオティックな部分がすごく突き刺さる感じがあるのだ。おちゃらけともちょっと違う、挑戦的な感覚。リスナーにとっても試金石になりそうな気がする。（柴那典）